相続した土地を放棄できる?できない?
・相続した土地を国に引き取ってもらう制度ができた
・ただし引き取ってくれる条件が厳しい
・なので実質的には放棄は無理
所有者不明土地問題の解消のために、相続登記の義務化が始まります。その一環として、「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」が成立しました。
原則として、不動産の所有権は放棄したくてもできません(共有権は放棄できます、放棄された共有持ち分は他の共有者のものになります)。
で世の中には、資産価値のある不動産と、全くない負動産があります。
・売りたくても値がつかない、買い手がいない
・固定資産税が発生する、所有者責任を負うなど管理しなきゃいけない
など、デメリットしかない土地というものがあります。
で、このような土地を相続することになったら面倒です。
相続放棄する、って方法もありますが、そうすると他の財産も受け取ることが出来ません。
とお困りで相続手続きをほったらかしにしたり、誰がいらない土地を相続するかで揉めて遺産分割協議が進まなかったりして、相続登記をしていないケースが多々あります。
そこでいらない土地は相続せずに国庫に帰属させることができる制度ができました。
ただし、国に引き渡せる土地には条件があります。
・相続また遺贈により取得したこと…つまり今現在所有している人は放棄できない
・建物があったらダメ…建物ある場合は解体して更地にする必要がある、
解体費(古い民家で150万円くらい)は相続人負担で
・土壌汚染されている土地はダメ…土壌汚染されていないことを調査しなきゃいけなそう、
調査費は相続人負担で
・境界が不明なものはダメ…境界がはっきりしていない土地は境界測定する(60万円~)、
相続人負担で
・崖や、樹木など有体物があり管理が大変な土地はダメ…山林はダメってこと
この条件がクリアーできてる土地なら、所有権を放棄するまでもなく普通に売却できそう。
難ありの土地だから売れなくて管理が大変な負動産になって困っているのに、そういった土地は国は引き取らない、ってことです。
更に、
・10年分の土地管理費相当額の負担金が必要…相続人が10年分の管理費を払うことに
・申請には審査手数料がいる…法務局の実地調査が必要で、その費用も相続人負担
と、とにかく費用は相続人が負担することになるので、”もう面倒だから放っておこう”ということになりそうです。
ということで、本当に放棄したい土地は放棄できない、実質的にあまり意味がない制度な気がします。