成年後見制度とは

  精神上の障害や認知症などにより、本人の判断能力が不十分な人を保護するための制度です。
裁判所から選任された成年後見人が本人(=被後見人)のために
財産保護(後見人の預貯金や不動産など財産を浪費しないように守ります)と
身上監護(本人の住まいの確保、生活環境の整備、治療や入院の手続き)を行います。

成年後見と任意後見

 成年後見は、既に本人の判断能力が不十分な状態にあり、本人を保護する必要があるときに、親族など(本人も可)が家庭裁判所に申し立て、家庭裁判所が後見人を選任して始まります。
 任意後見は、まだ本人の判断能力があるうちに、将来、認知症などになったときに備えて、あらかじめ後見人となってもらう人と契約(公正証書による契約)しておいて、いざその時が来たときに、契約に基づいて後見が開始します。
 つまり、判断能力が十分あるうちに、認知症などになったときに備えてあらかじめ後見人となってもらい人と契約をしておくのが任意後見で、
既に本人が判断能力が不十分になっている場合に、本人を保護するために裁判所が後見人を選任するのが法定後見です。
 なお、後見のうち、任意後見の占める割合は2~3%となっています。
 

法定後見3つの類型

法定後見には3つの類型があり、判断能力の程度によって保護する方法も変わります。

 成年後見…判断能力が全くなく、一人で日常生活を送ることができない、財産管理・処分がおこなえない状態。
 成年後見人(裁判所から選任される)は、全面的に本人に代わって契約行為を行い、逆に本人が行った契約行為は無効となります。

 保佐…判断能力が著しく不十分で、日常的な買い物程度なら一人でできるが、お金の貸し借りや不動産売買など、重要な行為を行うのには不安がある状態。
 保佐人(裁判所から選任される)は、法律で定められている重要な行為を行うときに、本人がした意思決定に同意をすることで初めてその法律行為が有効となるものです。原則として代理権はないが、裁判所に申し立てることにより代理権を持つことが出来る。

 補助…保佐を受けるほどではないが判断能力が不十分な場合。
 補助人(裁判所から選任される)は、法律で定められている重要な行為の一部について、同意権を持ちます。こちらも原則として代理権はないが、裁判所に申し立てることにより代理権を持つことが出来ます。

つまり、以下のようになります。
 ・成年後見…全面的に本人に代わって契約を行う、本人が契約行為を行っても無効。
 ・保佐…民法第13条2項に定められている法律行為を本人が行うときに、同意を得る必要がある。同意のない本人の行った行為は取り消すことが出来る。
 ・補助…民法第13条2項に定められている法律行為のうちの一部について本人が行うときに、同意を得る必要がある。同意のない本人の行った行為は取り消すことが出来る。

成年後見を申し立てる必要がある場合

判断能力がない人が次のような契約行為を行う場合、本人の意思が確認できないため、本人に代わって契約を行う、成年後見人を選任する必要があります。

・預貯金、有価証券の解約
・福祉サービス(介護施設やデイケア)を利用する契約
・不動産の売買、不動産を担保にお金をかりるとき
・相続人間で遺産分割協議をする場合
なお、判断能力がない人が行った契約行為は無効となります。

取引の相手方も、判断能力のない人と契約行為をするには、その人に成年後見人をつけてもらい、本人に代わって成年後見人と契約を結ぶ必要があります。
判断能力がないことを知りつつ、本人と契約行為を結ぶと、契約が無効になるだけではなく、詐欺罪に問われる場合もありますので、注意が必要です。

成年後見制度の手続きの流れ

・どこに申立するか→本人の住所地にある家庭裁判所に
・申立人→本人・配偶者・4親等以内の親族・検察管・市町村長など限られている
・書く内容→申立人や本人に関する情報・申立て理由など
・後見人候補者→後見人の候補者がいる場合は書く(ただし選ばれるとは限らない)
・提出書類→親族関係図・財産目録・収支状況報告・戸籍・住民票・医師の診断書、(後見)登記されていないことの証明書など

申立をすると、親族の意向を確認するため、家庭裁判所から親族に対して照会書が送られる。

裁判所の審判手続き(本人や親族、候補者との面談などがあります)を経て、
後見人の決定・告知がされ、後見開始となります。

申立から決定まで1~3か月かかります。


当事務所の司法書士は、後見業務に取り組む司法書士の団体である社団法人リーガルサポートに加入しており、後見業務には積極的に取り組んで行きたいと考えています。
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外部リンク
後見サイト・東京家庭裁判所後見センター
公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート東京支部