過払い金請求って今どうなってるの?

ちょっと前まで「過払い金請求が~まずはお電話でフリーダイヤル…」というテレビ・ラジオCMが毎日のように流れていたけど、最近はほとんど聞かなくなりました。

最近、インターネットの広告で「国が認める救済措置が…」ってのをよく見るようになったけど、あれは何なの?

しろくま先生

あれは債務整理のことを言ってるんだよ。
多重債務や借金で困っている人に対しての法的救済措置がありますよ、ってこと。
具体的には「任意整理」「自己破産」「個人再生」だね。
任意整理だと、相手方と交渉して「将来の利息と遅延損害金をゼロにしてもらって、残っている借金を5年以内に完済する」ってパターンが主流。
それがダメなら自己破産・個人再生だね。

でも、ちょっと前までは「あなたの借金が返ってくるかも、過払い金が…」ってのがしょっちゅうテレビやラジオCMでやってた気がするけど。
あれは最近あまり見なくなったよね。

しろくま先生

過払い金バブルが終わったからね。
今現在、過払い金を受け取れる可能性のある人はかなり少なくなっているんだ。

なんで少なくなっちゃったの?
みんなCM見て過払い金請求して受け取ったってことかな?

しろくま先生

もちろん、それもあるね。
過払い金は基本1回請求したら終わりだからね。
でも一番の理由は”時効により過払い金を受け取る権利が消滅している”ってことだね。

時効による消滅か。
時効って10年とか5年で権利なくなっちゃうってやつだよね。

しろくま先生

現在の民法だと時効は
「債権者が権利を行使できる時から10年または債権者が権利を行使することができることを知った時から5年」(民法166条1項)
になってるね。
この”行使できる時”ってのは、過払い金については借りた時から数えるんじゃなくて”借金を完済してから10年”になるよ。
ただし2020年4月1日までに完済した人は旧法が適用されることになるけど、旧法でも時効は10年なので、結局10年前に完済している人は過払い金を請求できないことになるね。

でもそれなら、最近やっと借金返し終わった人には過払い金が発生する可能性ありそうだけど。

しろくま先生

そうだね、可能性はあるけど、その前に過払い金が発生しているのかが問題になるね。
過払い金とは、”消費者金融などに対し利息制限法の上限を超えて払いすぎていた利息”のことなんだ。
昔はこの利息制限法の上限15~20%をこえた金利で貸し付けてても、出資法の上限金利29.2%を超えていなければ罰せられることはなかったから、その間の金利(グレーゾーン金利という)で貸し付けしていた消費者金融が多かった。
でも2006年(平成18年)に最高裁でこのグレーゾーン金利での貸付は無効!っていう判決がでて事態は一転。
この無効となったグレーゾーン金利の支払い分について返してもらうことを過払請求といっているよ。
ほどんどの消費者金融はこの判例に従って2007年(平成19年)までにグレーゾーン金利での貸付をやめているんだ。
そして2010年(平成22年)には利息制限法が改正され、完全にグレーゾーン金利で貸付をしている業者はなくなったんだ。

じゃあ、2010年以降に初めて借りた人には、過払い金なんて関係ない話しだね。

しろくま先生

そうだね、それに銀行などは2007年前でも適法金利での貸付だったし、ショッピングで借りた人の金利は手数料なのでこれも過払い金の対象にはならない。
過払い金が受け取れる可能性がある人は以下に該当する人。

・2010年より前に消費者金融・信販会社からお金を借り入れて
・まだ借金の返済中、もしくは完済から10年以内

単純に2011年(平成23年)までに完済してる人は、過払い金あっても時効により消滅してる、ってことになるね。

つまり、過払い金を請求できる人は減る一方なので、CMやってもお客さんとして来る可能性は低いってことか。
それでも借金返済に苦しんでいる人は多いから、CMも債務整理をメインに言い出しているんだね。


実際に過払い金があるのか、あったとしても請求するメリットがあるかどうかは判断が難しい所です。
気になる方は専門家に相談してみてください。

当事務所でも債務整理の相談を受け付けております、気になる方はお気軽にご相談ください(相談無料)。