遺言書を作ろう②公正証書遺言書について

遺言書には大きく分けて2種類あります、自筆証書遺言書と公正証書遺言書です。
公正証書遺言書について見てみます

終活の一環として公正証書遺言書を作ってみようと思っています。

しろくま先生

そうですか、公正証書遺言書は法律で規定する遺言書の種類で最も安全だと言われている遺言書ですね。

遺言書に安全とかあるんですか?

しろくま先生

遺言書の安全性とは、
①遺言書として形式的に有効である
②遺言内容が適切である
③作成時の本人の意思が明確である
④改ざん・偽造・紛失の怖れがない
といったところが満たされているかどうかですね。
これらのうち一つでも出来ていないと意味の無いものになってしまう可能性があります。

なるほど、せっかく作ったのに使えないかも知れないと思ったら安心できませんもんね。

しろくま先生

①の形式的に有効っていうのは、遺言書は法律で定められた形式に従って作られていないと遺言書として認めてもらえないんですが
公正証書遺言書の場合、公証人が作成した文書に本人が署名捺印するので、作成した時に遺言書として有効なものだと確信できます。
一方、自筆証書遺言書の場合、自分の死後に裁判所で検認という手続きをするのですが、そこで初めて遺言書が有効かどうかの確認します。
もし万が一ここで形式的要件が揃っていない事が発覚したとしても、書いた張本人は既に亡くなっているので訂正しようもなく残念な結果に終わってしまいます。

あの~、”公証人”というのは誰なんでしょうか?

しろくま先生

公証人というのは、公正証書を作成する権限を国から与えれた法律の専門家ですね。
元裁判官や検察、弁護士といった法曹関係者や法務省の役人だった人がなることが多いです。
全国にや役500名いて、各地にある公証役場で執務しています。
公証人の作成した文書は法的にかなり強い権利が付されていることが多く、公正証書遺言書も公証人の作成する文書なので、それだけで形式的有効性が担保されています。
そのため自筆証書遺言書とは違って検認もいらず、本人が亡くなった時から即効力のあるものとして使うことができます。

②内容が適切ってのはどういうことですか?

しろくま先生

遺言書の形式的要件が満たされていても、書かている内容によっては、あげる人やあげる財産が特定できないた相続財産の引渡しが出来なかったり、遺言執行者がいないために手続きが面倒になったり…
そういった不都合が起きないように、あらかじめ公証人の先生と打ち合わせをして遺言書に書く内容や希望を決めます。
公証人の先生は、打ち合わせで聞いた希望通りの相続財産の引渡しができるよう、文書を作成しますので安心です。

専門家が文書を作ってくれるのは安心ですね。

ところで、「遺言執行者」という聞きなれない言葉が出てきたのですが?

しろくま先生

遺言執行者とは遺言書に書かれている内容通りに財産を相続人(受遺者)に引き渡す手続きを行う人のことです。
実際に銀行の窓口にいって手続きしたり、不動産登記手続の申請を行ったりできます。

遺言執行者を決めていないとどうなるのですか?

しろくま先生

遺言執行者を決めていない場合、相続財産に関わる手続きについては相続人”全員”で行わなければなりません。
相続人が数人いて、もし遺言書で「そのうちの一人に全財産を相続する」としていても、実際にその人が財産を取得するには、他の相続人の協力が必要ということになります。

単純に人数が多ければ多いほど全員集まるのが大変だし、もし相続で揉めるような関係にあったら協力なんてしてくれませんからね。
それを回避するために遺言執行者を決めておいたほうが良いでしょう。

相続手続きをスムーズに行うには遺言執行者を選んでおく方がいいんですね

しろくま先生

遺言執行者は誰でもいいので(専門的知識がなくても大丈夫)通常は、財産を貰う人を受遺者兼遺言執行者として選任します。
そうすれば、その他の人の関与無しに一人でいろいろ相続財産の手続きができるようになるのでより迅速に手続きができますからね。

しろくま先生

③と④については、相続人の間でもめ事が起きていたり、相続財産の分配に不満を持っている人がいる場合に、その遺言書の正当性が争われる場合があります。
自筆証書遺言の場合だと、
・本人が自筆で書いていないんじゃないか
・後で他の人が内容を書き換えていないか
・本人の意思ではなく、他の人に騙された書かされたんじゃないか
・他の人が遺言書を廃棄たり隠したりしてないか…


特に遺言書の原本を廃棄されてしまったら、いくら中身を知っていたとしてもどうすることもできません。
一応、遺言書を改ざんしたり廃棄した(悪意の)相続人は、相続人の地位を失うという法律上の規定はあるものの(民法895条5号)、そういったことが起きる危険はあります。

しろくま先生

この点、公正証書遺言の場合は、
・公証人が作成し、公証人の面前で本人が署名捺印する
・作成時に公証人および証人2人が本人の意思が明確であることを確認する
・原本は公証役場で保管されているので、改ざん・偽造・紛失のおそれなし
と、遺言書の正当性について信ぴょう性が高いものとなります。

うちはそんなに財産ないし、子供たちは仲いいから、そんなに相続で揉めるってことはないだろうけど

しろくま先生

いやいや、財産のあるなしと相続で揉めるかどうかはあまり関係ないです。
仲が良い兄弟でも各々独立した家庭を持っていたりすると、いろんな事情が発生してしまいますから
貰えるものは少しでも多く貰いたい、とか
あいつばっかり優遇されててずるい、とか
ふとしたことでもめ事に発展する可能性は少なくはないですね

しろくま先生

あらかじめちゃんとした遺言書を作っておけば、揉める気も起きなくなって
未然に紛争を防ぐこともできますよ

そうですね、私の意思をしっかり残しておけば、多少不公正さを感じても納得してくれると信じてます。

しろくま先生

公正証書遺言書を作成する場合、相続財産に応じた手数料がかかります。
また公証役場に出向けない人(施設に入っている、歩けない等)については公証人の先生は出張して来てくれますが、その分出張費はかかります。
しかし、公正証書遺言書をつくっておくことで相続の紛争を回避したり相続手続き自体をスムーズに行うことができますので手数料以上の価値はあると思いますよ。


当事務所では公正証書遺言書の作成のお手伝いをしております、お気軽にお問い合わせください。


外部リンク
日本公証人連合会>遺言